もしや秋元康が徐々に作詞から手を引き始めている? 新譜の書き下ろし曲減少について

46シリーズ

2025年11月12日に発売されたNMB48の32ndシングル『青春のデッドライン』の収録曲5曲のうち、秋元康が作詞を務めたのは表題曲の「青春のデッドライン」の1曲のみだと話題になっている。

  1. 青春のデッドライン|作詞:秋元康|作曲:SoichiroK・Nozomu.S|編曲:佐々木望・河田総一郎
  2. 未来図作詞:sorano|作曲:猟平・小檜山翔・太嘉志|編曲:猟平
  3. やねん作詞:kiyo|作曲:kiyo|編曲:kiyo
  4. 上方ストロングスタイル作詞:Yoko Murata|作曲:森星矢|編曲:森星矢・名古育
  5. Oneness作詞:Yukurino|作曲:竹縄航太・岩野亨|編曲:竹縄航太・岩野亨

実は、その兆候はすでに現れていた。NMB48が2024年からやっているオリジナル公演『天使のユートピア』ではCarlos K.がサウンドプロデュースを務め、秋元康が作詞した新曲は「HOME〜ずっと友達〜」の1曲のみ(ただしこの作詞も多田慎也との共作)で、それ以外はCarlos K.など他のクリエイターによる作詞で構成されており、その中にはNMB48の卒業生である1期生の山本彩からの提供曲「僕らはまだ」や木下百花(現:ぶっ恋呂百花)からの提供曲「チュッてギュッてグッと♡」もあった。

10月に発売された櫻坂46の13thシングル『Unhappy birthday構文』は7曲中の1曲が既存曲の言語違いバージョン「Buddies (English Version)」で訳詞はMayu Wakisakaとなっており、9月に発売された日向坂46の15thシングル『お願いバッハ!』でも7曲中の2曲が既存曲の現メンバーでの録り直しバージョン「愛はこっちのものだ 2025」「ハロウィンのカボチャが割れた 2025」であり、新曲の書き下ろし数が減っていた。

そういえば、4月に発売された櫻坂46の2ndアルバム『Addiction』においても秋元康が書き下ろした新曲はリード曲の「Addiction」1曲のみであり、あとは海外DJによる既存曲のリミックスやTomoLow氏作曲のInterludeが多数のトラックを占めていたのを思い出した。これには前作のように5曲程度の書き下ろし新曲を期待していたBuddiesが落胆していた。いくら「アルバム全体を一つのLIVEのように楽しめる」とか「海外BuddiesにはこのDJリミックスが評判がよく、海外で櫻坂46楽曲の〈踊ってみた〉が流行った」と言ったところで、国内Buddiesに対してもこれを正当化するのは難しいだろう。

さらには、坂道シリーズしか見ていない人は興味がないだろうが、これまでは全曲を秋元康が作詞していたWHITE SCORPIONとRain Treeの直近のリリース作品「Corner of my heart」「好きだよとどっちが先に言うのか?」でも秋元康が作詞したのは表題曲の1曲ずつのみだった。どちらも10月にリリースされたものだ。

WHITE SCORPION 2ndミニアルバム『Corner of my heart』(新曲のみ抜粋)

  1. Corner of my heart|作詞:秋元康|作曲:藤田卓也|編曲:Eunsol(1008)
  2. 愁情作詞:Yuka Goto|作曲:Kyosuke Yamanaka・Yuka Goto|編曲:Kyosuke Yamanaka
  3. 希望には羽がついてる作詞:Yuqui-lah・B swamp・バンビーナ・Ryo Ito|作曲:Yuqui-lah・B swamp・バンビーナ・Ryo Ito|編曲:中野悟朗

Rain Tree 3rdデジタルシングル『好きだよとどっちが先に言うのか?

  1. 好きだよとどっちが先に言うのか?|作詞:秋元康|作曲:金崎真士|編曲:金崎真士
  2. 元気予報作詞:村野直球|作曲:SABURO|編曲:いちろー(ex.東京カランコロン)
  3. 定点観測作詞:Yoko Murata|作曲:youth case|編曲:youth case・たんしょそら

11月に発売される乃木坂46の40thシングル『ビリヤニ』の収録曲も1曲が既存曲の録り直し「ぐるぐるカーテン (6期生ver.)」になったことがすでに発表されており、書き下ろし数が減ったことが明らかとなった。

今後も当面は表題曲ぐらいは書き下ろすと思われるが、これが単純に忙しくて間に合ってないだけ、というわけでなく、あえての意図的なものだとすると、48グループなど秋元康がかつてよりも力を抜き始めているグループからどんどん作詞数は減っていくものと見られる。

(まさかAI秋元康に負けたのが相当ショックだったのだろうか? 何のことだか分からない方は、AKB48「思い出スクロール」を調べてください)

引き続き総合プロデューサーは務めるであろうが、ハロプロのつんく♂のように、全曲を自身が書かずに有能なクリエイターを起用していく方針に舵を切り始めたのかもしれない。これから発売される僕が見たかった青空の7thシングル『あれはフェアリー』の収録曲、乃木坂46の5thアルバム『My respect』の収録曲がどうなっているのかに注目だ。これらに収録される新曲がすべて書き下ろしであれば、今がたまたま忙しくて間に合わなかっただけと解釈され、杞憂に終わる。